エンバーミング、日本語に訳しますと遺体衛生保存となります。処置の内容は遺体に施される修復、防腐処置、殺菌消毒、お化粧などを行います。

専門知識をもった技術者により血管への薬液注入などの科学的な衛生保存が施され、ご遺族に安全の提供と心情的に受け入れやすいお姿に身支度させて頂きます。施術する事により、ご遺体の腐敗が一時的に止まりますので遺族・親族の皆さまで「葬儀」に付いて十分に考える時間が出来きます。

また故人のお顔やお体の傷(交通事故でお亡くなりになった場合)などを消すことができます。(不可能な場合もございます。)これにより、葬儀でのご友人と故人とのご対面や、遠方からのご友人の到着を時間を気にせず、最後のご挨拶を行っていただくことができます。

ご遺体のもつ危険性に対しての対処もドライアイスを使用した処置方法よりも確実にエンバーミングは安全性を高めます。

残念ですが人体は死を迎えると腐敗が進行し始めます。手当されていない遺体は、微生物の成長する環境の提供元となり公衆衛生を阻害してしまいます。亡くなった方をドライアイスにて処置することは、遺体の温度を下げ腐敗の進行を遅らせているのです。(ドライアイスは-70℃ほどでドライアイスの直下にしか殆ど効果は有りません)

人体の腐敗は5℃以下にすると非常に遅くなります。しかし、胃腸などの消化酵素を持つ臓器は自家融解を起こします。食物を消化する為の酵素が胃腸自体を融解してしまうのです。この自家融解を抑えるには0℃以下の低温、又は酵素の活性が失われるほどの高温にすることでほとんど進行しません。しかし、後者は腐敗の抑制と相反することになります。

従いまして、前者の0℃以下に保ち、自家融解を抑制します。結論としますと遺体を冷却して腐敗及び自家融解を抑えるには、人体の全体を5℃以下にし腹部(消化酵素をもつ内臓の近辺)を0℃以下にすることにより腐敗及び自家融解は抑えられ、効果的な遺体の保存ができます。

上記の条件を満たした遺体の保存は難しく現実にはドライアイスをただ当てたのみ処置がほとんどです。
エンバーミングが全ての遺体に対して有効とは言えません。しかし、有効な技術であることは間違いないでしょう。

ご遺体の状態が維持出来きて、ご喪家に大切な家族とのお別れを考える時間が出来ることが最大のメリット。この時間的余裕が悲しい家族の死を直視し受け入れ、乗り越えて行く事の助けになるのではないでしょうか。
故人との対面は、遺族・親族、そして故人ゆかりの人々にとり重要なことと考えています。その対面をより良くする為にもエンバーミングをご紹介させて頂いています。